2015年9月18日金曜日

KiCad4.0 RC1(bzr6188) for OS-X

KiCad4.0 RC1が出ましたね。
早速試してみます。
build済みはNightlyBuildが
http://downloads.kicad-pcb.org/osx/
にありますが、TrackPad/MagicMouseの使い勝手がMacの標準的な使い方とあっていません。
具体的にはTrackPadならピンチで拡大・縮小、2本指の操作で指を動かす方向にスクロール、MagicMaouseなら1本指で指を動かした方向にスクロールというのが標準的な使い方ではないかと思います。(人によっては異論があるかもしれませんが、私はこれに慣れてしまっています)
NightlyBuildの方はTrackPadのピンチは効かず、2本指の操作で拡大/縮小、MagicMouseの1本指の操作も拡大/縮小になっています。
これはWindowsマウスのホイール動作に拡大/縮小が割り当てられているためと思われますが、クリック感があり上下にしか動かないホイールの動作とTrackPad/MagicMouseの360°操作では使い勝手が大きく違って、何をするにも画面が大きく拡大/縮小されてしまって使い物になりません。

仕方がないので自分でbuildします。
幸いなことに、この件に関するpatchがKiCadの中に既に含まれていて必要なpatchを当ててbuildしてくれるscriptが用意されています。
以前~gcorral/kicad/osx-trackpad-gesturesというbranchで進んでいたOSXのtrackpad対応が入っているようです。

これでbuildしてみて実行してみましたが、どうも以前のようにうまく行きません。
TrackPadのピンチで拡大/縮小が出来るようになっているのですが、2本指での操作でも拡大/縮小になってしまいます。MagicMouseの方も同様です。

osx-trackpad-gesturesと4.0のツリーを比較してみると関係ありそうな所が数箇所あったので修正してみました。
後々の為にpatchにしておきます。(あとでbuildの詳細でやり方を説明します)
これでbuildすると、当初の目論見どおり2本指の操作でスクロール、MagicMouseでもスクロールに出来ました。
さらに基板に日本語でシルクを入れられるように日本語フォント対応も追加します。
Windows環境が必要ですが、ここの手順どおりで日本語フォントを含んだnewstroke_font.cppを作成出来ます。
 http://wiki.kicad.jp/日本語フォントのマージ手順

ここまででひと通り準備が整ったので、以下buildの詳細手順です。
build方法は以下のページを参考にさせていただきました。
http://ochaochaocha3.hateblo.jp/entry/2015/01/05/installing-kicad-on-mac-os-x
ほぼ同じ手順ですが、patchに対応が入っていたりするので順番に記述します。

XcodeとCommandLineTools、brewが入っている前提で書きますので、ない場合は入れておいて下さい。

まずはbrewを最新の状態にして必要な物をinstallします。
# brew update
# brew install cmake bzr glew cairo swig

bzrに自分の名前とメールアドレスを設定します。
# bzr whoami '自分の名前 <name@example.net>'

適当なところにKiCad build用のdirectoryを掘ります。
# mkdir KiCad4.0
# cd KiCad4.0

KiCad 4.0のソースコード入手
# bzr branch lp:kicad/4.0

wxPythonソースコード入手
http://www.wxpython.org/download.php#source
から下の方にあるwxPython-srcのlinkをたどってtar-ballを取得し先ほどのdirectoryに移動し展開します。
# tar xjvf wxPython-src-3.0.2.0.tar.bz2

展開されたdirectory名を変更しておきます。
# mv wxPython-src-3.0.2.0 wx-src

以下のファイルをダウンロードして先ほどのdirectoryに移動し展開します。
kicad4.0_osx_patch.tgz

kicad_macosx_scroll.patch
newstroke_font.cpp
の2つのファイルができます。

TrackPad、MagicMouseのスクロール対応とyosemite対応
# cd 4.0
# patch -p0 < ../kicad_maxosx_scroll.patch

このpatchで
4.0/common/draw_panel.cpp
4.0/common/view/wx_view_controls.cpp
4.0/scripts/osx_build_wx.sh
の3つのファイルを修正しています。

日本語フォント対応
# cp ../newstroke_font.cpp common/newstroke_font.cpp

boost対応
/usr/libに幾つかdylibが存在しないためエラーになる
# sudo ln -s /Applications/Xcode.app/Contents/Developer/usr/lib/*.dylib /usr/lib
でsymbolic linkを作成

El Capitanではrootでも/usr/libに書き込み出来ないのでrootless対応が必要になるようです。

wxPythonのbuild 結構時間がかかります。
# sh scripts/osx_build_wx.sh ../wx-src ../wx-bin ./ 10.10 -j4
# cd ..

kicad本体のbuild こちらもかなり時間がかかります。
# mkdir build
# cd buld
# cmake ../4.0 \
      -DCMAKE_C_COMPILER=clang \
      -DCMAKE_CXX_COMPILER=clang++ \
      -DCMAKE_OSX_DEPLOYMENT_TARGET=10.10 \
      -DPYTHON_EXECUTABLE=`which python` \
      -DKICAD_SCRIPTING=ON \
      -DKICAD_SCRIPTING_MODULES=ON \
      -DKICAD_SCRIPTING_WXPYTHON=ON \
      -DwxWidgets_CONFIG_EXECUTABLE=../wx-bin/bin/wx-config \
      -DPYTHON_SITE_PACKAGE_PATH=`pwd`/../wx-bin/lib/python2.7/site-packages \
      -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=../bin \
      -DUSE_IMAGES_IN_MENUS=ON \
      -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release
# make
# make install
# cd ..

ここまででKiCad4.0/bin/にkicadの本体が出来上がります。

次にライブラリなど/Library/Application\ Support/kicad/に配置するものを集めます。
まず集める為のdirectoryを準備します。

# mkdir -p release/kicad

NightlyBuildをみるとkicad以下には下記のdirectoryがあります。
kicad/demos
kicad/help
kicad/internat
kicad/library
kicad/packages3d
kicad/template
ただしkicad/internatはkicad/share/intarnatに置かないと効果がないようです。

kicadをbuildするとbinに出来ているkicad.appとdemosをコピーします。
# cp -pr bin/kicad.app release
# cp -pr bin/demos release/kicad

次にlibrary, packages3d, templateを取得します。
# git clone https://github.com/KiCad/kicad-library.git
# cp -pr kicad-library/library release/kicad
# cp -pr kicad-library/modules/packages3d release/kicad
# cp -pr kicad-library/template release/kicad

次はhelp,internatを取得します。
公式repoはbzr branch lp:~kicad-developers/kicad/docなのですがgitの方が速いので非公式repoですがこちらから取得。
# git clone https://github.com/blairbonnett-mirrors/kicad-doc.git
# cp -pr kicad-doc/doc/help release/kicad
# mkdir release/kicad/share
# cp -pr kicad-doc/internat release/kicad/share

helpが古いのでkicad.jpの方々の最新版の翻訳(感謝!)に差し替えます。
# curl http://kicad.jp/translate/CvPcb.pdf -o release/kicad/help/ja/CvPcb.pdf
# curl http://kicad.jp/translate/Eeschema.pdf -o release/kicad/help/ja/Eeschema.pdf
# curl http://kicad.jp/translate/GerbView.pdf -o release/kicad/help/ja/GerbView.pdf
# curl http://kicad.jp/translate/Getting_Started_in_KiCad.pdf -o release/kicad/help/ja/Getting_Started_in_KiCad.pdf
# curl http://kicad.jp/translate/IDF_Exporter.pdf -o release/kicad/help/ja/IDF_Exporter.pdf
# curl http://kicad.jp/translate/KiCad.pdf -o release/kicad/help/ja/KiCad.pdf
# curl http://kicad.jp/translate/Pcbnew.pdf -o release/kicad/help/ja/Pcbnew.pdf
# curl http://kicad.jp/translate/Pl_Editor.pdf -o release/kicad/help/ja/Pl_Editor.pdf

これでrelease以下にkicad.appとkicadの2つのdirectoryが出来上がりました。
ここまでのreleaseをKiCad4.0RC1にrenameしたものを下記に置いておきます。

KiCad4.0RC1.zip

上のファイルを展開して
kicad.appは/Applications
kicadは/Library/Application\ Support
にそれぞれ移動します。

上記からダウンロードした場合、最初の1回めは開発元が未確認のため開けませんと言われてしまうので /Applicationフォルダを開いてKiCadを右クリックし「開く」を選択してダイアログボックスの「開く」を選択すると起動します。
起動するとタイトルバーにKiCad (2015-09-12 BR6188) .....と出ていれば正しく開けていると思います。
/Library/Application\ Support/kicad/demoに幾つかサンプルが入っているのでkicadから開いてみてください。

まだRC1なのでお試し用であることを踏まえて使ってください。

0 件のコメント:

コメントを投稿